【見通し】市場の目=米雇用統計の影響限定的、今後の鍵は「自然利子率」?

ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員・窪谷浩氏

米雇用統計の市場への影響は限定的、FRB議長の自然利子率への言及を懸念

 明日(4月1日)の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が+20万人、失業率は引き続き4.9%とみている。基本的に4月の利上げはないと考えており、雇用統計で+20万人台後半といったかなり良い結果になったとしても、その見方は変わらない。金融市場への影響は限られ、米長期金利やドルがレンジをシフトするような上下にはつながらないと思う。

 ここもと個人消費が弱く、1月の数字が非常に大きく下方修正された。それもあって、1-3月の米成長率はアトランタ連銀推計のGDPナウなどからみても1%を割れそう。パッとしない10-12月成長の後を受け、1-3月は回復すると思っていたが、そうならない可能性が高くなった。雇用統計が良かったからといって、それだけで6月に必ず利上げ実施さとも言いにくくなっている。3月に、1-2月のもたつきを取り戻すような加速があったとも思えない。1-3月の成長はさえず、4-6月に果たして戻してくるか慎重に見極めなければならない状況。今のところ6月、12月の年内2回の利上げを見込んでいるが、少し6月の利上げは厳しくなってきた。
 グッドニュースは資本市場の落ち着きで、その面からの下押し圧力は和らいだ。強弱が混ざった状況で、だからこそ慎重な判断が必要だと考える。

 物価が上がってきたことも、金融政策の見通しを難しくする。これまでは物価はあまり気にせず、成長や労働市場の回復に気を使いつつ、だましだまし金利を引き上げていけばよかった。しかし物価が上がると、そのロジックは通用しない。物価上昇はテクニカルな側面もあるが、上昇によって利上げが後押しされる可能性がある。

 先日のイエレンFRB議長の講演でも気になるところがあった。長期停滞論を意識し自然利子率に比べて市場の実質金利は低いため、金融政策は有効に働いている点に言及していた。このため、市場は自然利子率と実質金利の動向について、これまで以上に意識せざるを得なくなった。しかし、自然利子率の推計方法は確立されておらず、推計方法によって幅があるため、市場とのコミュニケーションは難しくなるだろう。また、期待インフレ率が大きく下がり、市場の実質金利が自然利子率を上回る場合に、米利上げの休止だけでなく、利下げも検討するのか、市場に対しての説明が益々難しくなろう。金融政策に対する信認を失うことで、市場の変動性が高まることが懸念される。いずれにしろ金融政策を分析する上で「自然利子率」が今年のキーワードになる可能性があるとみている。

(関口)

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